「いつか本を出版するのが夢なの。」
「どんな本を書きたいの?」
「ダンスセラピーとしてのフラ。日本で働き続けて行くのって本当に大変なの。
いろんなものが損なわれていくし、自分が生きているのか死んでいるのかさえわからなくなってしまう。
日々生きていく中で、損なわれてしまった自分を自分で取り戻すために、フラが必要なの。
私はフラがなければ死んでいたと思う。」
「わかるよ。自分らしく生きていくのは本当に大変だからね。Aさんに話を聞くといいよ。
彼女のフラとガーデンの話を聞いたことある?」
「フラとガーデン??ううん。ない。」
「とても面白いストーリーだから、今度紹介してあげる。」
突然、始まった会話に戸惑った。
本を出したい話も、ダンスセラピーとしてのフラの話もまったくするつもりはなかったのだけれど、
なぜか、そういう流れになってしまった。
その後、私は思いっきりフラの事を語り、
ことごとく深い理解を示され、うれしさと同時になんだか面食らってしまった。
フラをやっていない人からこれほどの理解を得た事がなかったのだ。
でも、ああ、フラがある土地で育った人にはまあ普通にわかることなのかなあと納得したりしながら、
でも、てっ言うか、いったいあなたは誰なの?と一人で心の中でつっこんだりしながら、
とても不思議な夜を過ごした。
ディープな内容だけど、とても軽やかに話がすんなり進んで、
ああ、私はハワイに来てたんだって、やっと理解した気がした。
何かの本か誰かの考えに影響されてか、
現状がうまくいかないから、今いる場所がフィットしないから、
どこかよそへ移るのは”逃げ”だと、ずっと思ってた。
だから、どんなに苦しくても、私はそこにいつづけ、
自分が変わればいつか状況は変わるんだって、自分を自分に呪いをかけ、
動けないようにしてしまった。
自分で自分にDVをしていた感じ。
自分のコアというものは、世界中どこにいっても変わらないものだろう。
でも、状況状況によって色んな自分が存在していて、
メインに表に出て来てくる自分というのは、場所によって変わる。
男子からも女子からもじじばばからも、
なんだかとてもモテてしまっている現在のモテ期がそれを証明していると思う。
私は、全然変わっていないのに。。
なぜこういう状況に東京でならなかったのかと思うのです。
でも、やっぱり、変わってるんですね。
顔も変わったと言われますし。
それは、無理から自分を変えようとしたわけでなく、
ハワイという土地が、そしてハワイで出会った人々がそうさせてくれたんだと思う。
ハワイで、自分が自分にかけていた呪いが自然とはがれていってくれて、
体の奥底に雲隠れしていた良い部分の自分が、
ようやく表舞台に出て来てくれた。
本当に一時はどうなることかと思っていましたよ、アロハニアンさん。
だから、どこかに移れる貴重なタイミングというものは
逃してはならないのです。
人生の中でそう多くは訪れてくれませんから。
