生きていて良かった夜

あの夜は夢の中を歩いているようだった。

現実なのか現実でないのか、
途中でお化粧直しに行った時に、歯に海苔的なものが挟まっていたのを恥ずかしく思ったと同時に
真ん中の歯と歯の間でなくてよかった!と安心したとき、
少し、ああ、これってリアルなんだとおもった。

生きていると、生きていてよかったと思う瞬間ってごくたまに訪れる。
あの夜は、そんな夜。

それは、私の中のとてもとても特別な存在の人と一緒に時間を過ごせたこと。

一年前の私は、人生にはこんな夜が来ることがあるなんて思いもしなかった。

特に、ほんの10分ほどの二人での会話は、胸がつまって息もできないほどで、
途中から誰とどこでにいて何を会話しているのか、
自分で話しながらわからなくなってしまいそうになったほどだ。
まあ、それほど会話が自然だったこともあるのだけれど。
心ときめいて、足がふわふわして落ち着かなくて、ちょっと緊張して、
伝えたいことはたくさんあるのに、何を話そうとちょっと戸惑って、
結局他愛のないことを話してしまい、
一番伝えたかったことをいい忘れたことを帰ってから思い出した。
まあ、人生そんなものよね。

自分の駅で降りて、星がキレイにみえて、わ〜きれい!と思った瞬間、
とても切なくなった。
「星がきれいだね!」と伝えたくなったから。
どんなに幸せで、生きていてよかったと泣きたくなるほどの時間を過ごしても
結局はひとりぼっちなことに、とてもやりきれなくなった。

本当は応援団がいっぱいいることもわかっている。
でもね。
それとは違うところなのよね。

あの夜交わした会話は、私の中のメモリーにしか残らないだろう。
相手側のメモリーには会話の内容どころか、
私という人間と少しの間会話したことさえ残らないことはわかっている。
とても切ないメモリー。

でも、きっと、あの夜の特別な瞬間は、
私という人間を今後も支え続けるだろう。
どんな悲惨な時期も、明日なんか来なくていいのにと本当に願った日々もいつか終わりをつげ、
生きていて良かったって思える時もいつか来るんだって、
私が経験として伝えられることだから。
きっといろいろまた大変なことも起こるであろう未来の私は
つまづいたとき、この記事を読むべしなのだ。

私はとてもしあわせで
とてもさびしくて
とてもひとりぼっちで
とてもせつなくて
とてもかなしくて
でも、とてもよろこびに満ちあふれていて、
なぜか、とてもサポートされていて、
とても未来は開かれていて
何かへの感謝がとてもあふれてきて、
もうわけがわからなくなってきて、
わんわん泣いた。

そして、フラを踊った。

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